2012-01-01から1年間の記事一覧

2012-12-05

たとえば「している」と「しているらしい」のちがい。現在と過去。推測は過去なのか?いや、推測は他者を通過し、わたしに帰ってくるという時間のずれをもたらし、情報を遅延させる……仮定はどうか?「もし」と言ったとき、「もし」でない現実もあらわしてし…

2012-11-13

「日常的思考の演算が、主文の主述結合にしか規定されないのは、それ以外の関係節的な部分は、他者から与えられた言葉としての確実性、一挙性としての権利をもたされるからです。言語によって思考する時、真偽判断は主述結合の可・不可という一挙的瞬間性に…

2012-10-20

カフカのあの内分裂、書き手がその時々の、ひとりひとりに憑依しながら、別の時間に書かれた言葉や、他の人物に対して絶えず驚きを感じながら、つまりすべてが断片でありながら、長編が書かれるあのSFと見紛うまでの異常な生き方……SF小説がなんであんなに書…

最近のワンカット(さめないゆめ)

エビは次の日の朝にも机の上に逃げだしていたから指でつまんで水面に落とすと、くるくるとまわりながら水草に引っかかって逆さまになり、飛び出す瞬間が見たいわたしは眠りづらくなってきたけれど、カズナはそれでも帰ってこない。また失敗した! エビは空に…

2012-10-13

『POV〜呪われたフィルム』は、本当にすごいというか、物語にしても演出にしてもこれまでのJホラーの総決算みたいな感じだし、メタメタメタ・フィクションみたいな感じだし、といってわけがわからなくなりすぎるということもなく、というか、わけがわからな…

2012-08-07

「なんでも持って行っていいですよ」 「じゃあ、ハンガーとフランスパンを」 * TSUTAYAの郵便返却の袋の中にあった前の人のレシートが、近親相姦のアダルトビデオと、60年前の戦争映画だった。旧作値引きされているからシニアの人だった。 * 夏の昼間って、…

2012-07-25

一時間に一回の巨大な頭痛は、残りの59分59秒を怯えさせる。 * 細胞のひとつひとつが別れるその境界に言葉が入り込んでくる。それによってぼくは複数になるけれどぼくは拍手もしないし声も出さない。ただジャムのにおいがするって言うだけで、ぼくは場の運…

2012-07-13

主語のない描写によって描写が行われた後、語り手であるはずのわたしがそこにいないことがわかれば、わたしは曖昧に一元化されたわたしではなく、具体的に内部分裂したわたしに変化する。それは「わたしは」という主語によって書かれた文章のもつ因果律を語…

2012-06-16

明示された語り手と、具体性を持った記述、それこそ句読点に正しく区切られた文章が、階層を作るということは上への階段もまた作る。そこを登るかどうかは書き手の肉体的な認知のレベルに依存するものの、小説が最も媒体として得意とするのはその上昇にある…

2012-06-04

くじらが人間の手足を持つなら山に住むのか海に住むのかを考え、何匹かのくじらは山に住むことにしたけれどほとんどのくじらは海にいた。 港ではその日は漁が打ち止められて船はすべてくじらのために道を開き、朝から学校の休みになった子どもたちが海岸線に…

~2012-06-02

「お前はもうこれだけ生きた」と16年前の写真にうつるぼくの後ろの壁に貼りつけてある母親の写真を覚えているぼくに言われる。 * 生まれてからこれまでの20年間でぼくが見、ぼくを見たあらゆる人にありがとうございました。 * 外部を外部として受け入れる…

2012-05-28

旧サイト http://d.hatena.ne.jp/hiroki_yamamoto/