「次回予告」

せんべいミューージック

外は雨まみれ、近所のダムはすぐ干上がるくせにいざ強い雨が降るとすぐに満杯になってサイレンをウーオー鳴らし川を爆発させる。

『砂漠ダンス』とてもよかった。見えるものが変わる文体がある。そして読むにおいて「わたし」という言葉についていって魂を見過ごすと危うい。と思った。山下澄人さん文章は音楽を聞きながら歩いていて足の一歩一歩のリズム、筋肉の使い方が少しだけ変わってしまうようなふうに、読んだあとの言葉の使い方、風景の認識の仕方が変わるし、しばらく忘れていても読むと「ああ、そうだった」と、よかったことを思い出す。から、ぜんぶ読んでいるのだと思う。

一語一語が静止した無限個の宇宙を指でなぞっている、それによって静止が止まっている。

ぼくは飛行機から外を見た。上の方に平たい白が三枚ほど広がり、下にはプーっと粘っこい水面を子どもが吹いてまわったような雲の切れ切れがある。ぜんぶの手前に眼球が光の紐虫をたくさん捉えている。あ、飛行機が斜め上に飛んでいく。はやいぞはやいぞ 。

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