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2000

 ステゴサウルスの帽子をかぶった男の子は1998年に生まれ2016年に死んだ。これから先の人生がキーボードのように拾われていきますように――彼と仲のよかった1999年1月生まれの女の子は自分の14歳だったころに思いついてiPhoneのなかにメモしておいたその言葉をたびたび使う。ある瞬間の偶然に思いついたことがずっとつきまとって離れないように、自分が自分に仕向けることが大事だと、女の子が一人の子どもを授かるまでに気づくこと。メールの返事が遅いときにも、ましてや誤字脱字なんて気にしないように、わたしに大人であることを促すように。

 すごく大きな缶詰を身に覚えのないベランダで拾ってしまったとき、それを念入りに確認した外へ、そっと雪の積もった道路へ落としたい気持ちを気づかずにすますなんて難しすぎる。

 今日は節分だ、という日にこれからを楽しくするために買った「やまもりの落花生」で、わたしはどんなものでも「たね」が好きだったことを思い出していた。来週には動物園に行って、公園に行って、今日がどこまで覚えていられる記念日になるだろうと思いながら、今をすごすのだろうと、仕事にいそがしい女の子は感じている。わたしの子どもがもしも百万分の一の確率で生まれたら、絶対に恐竜なんて見せなくて、植木鉢と、バウムクーヘンの食べ方だけで育ててみる。

 あと、バスの窓越しに見えるとても広い洗濯機工場も、たまにはいい。